kokodamのピアノ日記 vol.5

海と森が見える家に住み、ピアノを弾いています。日々思うこと、感じたことなど、綴っていきます。

浜コン、本選に残った4名の日本人の演奏を、聴いてみた。

今朝、浜松国際ピアノコンクールの最終結果について、あんなことを書いてしまいましたが。
しかし、やはり、ちゃんと聴いていないのにあんなことを書いたのは、申し訳ない、ちゃんと聴かなければ、と思って・・・。

それで、今日、時間があったので、本選に残られた4名の日本人の方々の、3次予選と本選の演奏を、全部聴いてみました。
お一人お一人について、書きます。(私なんかの耳ですのでアテにはしないでください)

1)安並貴史さん:弱音の美しさ、繊細なやさしい音色が、素敵ですね。3次のモーツァルトのピアノ四重奏、よかったです。
ベートーヴェンは、やや「線が細い」と感じさせてしまうところがあった。ドホナーニという方が作曲した曲は、私初めて聴く曲でしたけれども、その詩情を素敵に歌い上げてたと思います。素敵でした。本選のブラームスのコンチェルト2番は、彼は、選曲によって結果が変わったんじゃないかと思いました。

2)今田篤さん:モーツァルトの四重奏は、きっかり弾かれて合わせもうまく、様式感あるけれども、やや音が堅い、もうちょっと軽やかさが欲しいと感じてしまいました。シューベルトは惜しいところもあったけれども上手だと思いました。プロコフィエフの7番はヨカッタです。1楽章気持ちよくテンポにのれたし、第3楽章、クライマックスに向けて、リズムと響きの振動に包まれて、体が喜ぶのを感じました!
本選のチャイコフスキーは、クリアかつ重厚な彼の音色に合っていると思いました。ソロ部分のミスが続いたのが惜しかったのと、オケとの音色のバランスというか、融合と分離、のようなものがあるといいと思いました。

3)牛田智大さん:1次、2次予選の、プロコの7番のテンポ感や、バラード1番の独特の「節回し」?みないなものが気になっていたのですが。本選のラフマニノフはやはり、オケに負けない音の明瞭さが際だっていたように思います。安定感と余裕のある呼吸。それとあの、オーラ。ただ、私などには、バラード1番のときと同じように、やや「やり過ぎ」と感じてしまうところがあるというか。モテっと感、というか・・・。ロシアって、あんな感じなんでしょうか?しかしクライマックスは引き込まれました。会場のブラボーの嵐と興奮、熱気も動画から伝わってきて、凄かったですね。

4)務川慧悟さん:本選の、プロコの3番、良かったです。彼にあってますよね。3次予選では、モーツァルトの四重奏、彼の個性で、独特の世界観を描き出していたように思います。シャコンヌは、間合いとか呼吸とかもう少し工夫できそうだけど、彼の、自分の内側に対峙するような世界、磨き上げていったら素敵だろうと思う。クライマックス引き込まれました。ラヴェルは彼に合っていると思うので、せっかくだからもっと何か、マニアックなこだわりがあってもいいんじゃないかと思った。個性が洗練されるかなと・・・。


・・・というわけで、勝手なことを書きましたけれども、一人一人に、素晴らしさがあり、また、改善の余地もあるようにも思え・・・。
今朝書いたことは、本選に進まなかった方々の演奏を一部しか聴いていないので、これ以上はコメントできません。ノーコメント。

でもとにかく、こうして聴いてみると、自分の中に残るのは、「結果はどうでもいいじゃないか」ってことですね・・・。
言葉以上に、こんなに多くのことを語ってくれる音楽。自分を共鳴、共振させてくれる音楽。それをちゃんと受け止めていこう、ってことです。

聴いて勉強になりましたっ!


(おまけ)
5)ジャン・チャクムルさんの本選 リスト協奏曲1番:オケを、彼の音楽に、引きずり込んでましたね。リズムの躍動は、聴いていて「楽しい!」のひと言。緩徐な部分は音色の美しさが際立っていて、切ない歌も素敵でした。(スタインウェイかと思ったら、Shigeru Kawaiだった。あんな音が出るんですね!)
後半、やや「やっつけた」感がありましたが(笑)、まあ、あれも、「愛嬌」ってことか!?



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