kokodamのピアノ日記 vol.5

海と森が見える家に住み、ピアノを弾いています。日々思うこと、感じたことなど、綴っていきます。

奥穂高登山

おはようございます。
昨日、山から帰ってきました。
山で考えたこと、忘れないうちに書きとめておこうと思います。


一つの記事では書ききれないので、三つほどに分けて書きますね。
まずは登山の記録から。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1日目。朝5時過ぎ、車で出発。
松本インターを降りて、沢渡バス停に車を停め、バスで上高地へ。
上高地を訪れたのは、15年ぶりくらいかな?


上高地から2時間ほど歩いて奥の方へ。
むかし牧場があったところに「徳澤園」という歴史ある宿があり、そこに泊まりました。
徳澤園は、井上靖の小説「氷壁」の舞台となった宿。
今回は、その「氷壁」を読みながらの山行となりました。


翌日2日目は朝から雨。
涸沢を目指して出発。横尾から本谷橋を通って涸沢ヒュッテへ。
雨で景色はほとんど見えず…。ルート自体は人が入って整えられた道で、急登でもなく、歩きやすい道でした。
途中から夏道が終わり、雪渓を歩きます。軽アイゼンがあった方がいい。

ヒュッテまではずっと雨が降っていましたが、午後から晴れ、地元の安曇野中&大野川中の中学生たちが、アルペンホルンと合唱で、音楽会を開いてくれました。
大野川中は小中合わせて生徒数二十数名という、小さな学校のよう。
素朴な中学生たち。岩山にひっそりと咲く高山植物のように健気…。
音はいっぱいはずしていたけれど(笑)、なんだか感動してしまって涙があふれ、歌っている中学生たちに見られて恥ずかしかった…。



翌日3日目も、朝から雨…。
涸沢ヒュッテから涸沢小屋までは、やはり雪渓を歩きます。

雪渓と夏道を何度かくりかえし、ザイテングラートへ。

ザイテングラートは岩山歩きで、クサリやハシゴもありますが、やはりたくさん人が入った道でよく歩かれているので思ったほど困難ではありませんでした。
雨なので滑りましたけど…。
でも道迷いや滑落事故など、毎年起きているようなので要注意。

途中、可愛らしい高山植物や、お花畑も。


ザイテングラートを登り切り、穂高岳山荘の直下は再び雪の道を歩きます。
山小屋の方が道を整えてくださってあったので、大丈夫。

ガスと雨で、果たしてここから山頂まで行けるかどうか、ちょっと不安でしたが、この時点で午前8時30分とまだ時間的に余裕がありましたので、山荘でホットミルクを一杯いただいて、山頂を目指しました。
↓ガスで全然見えない…。穂高岳山荘直上のハシゴは、高度感があります。
雨と風に吹き付けられながら、山頂を目指します…。

↓午前9時40分、登頂!奥穂高岳3190m。富士山、北岳に次いで、日本で3番目に高い山。
本当は周囲360°の大パノラマで、北アルプスはじめ周辺の山々が一望できるハズ、なんですが…。ガスで5m先もやっと。トホホ…。


山荘に戻って休憩をとりましたが、雨がどんどん勢いを増し、どしゃぶりとなったのでその後どうしようかと…。
当初は涸沢ヒュッテまで戻る予定でしたが、予定変更し穂高岳山荘に泊まることにしました。
荷物を涸沢ヒュッテに置いてきてしまったので、着替えもなく、身体ごと乾燥室にかけて(笑)、なんとか凌いだのでした。
寒かった〜。。。


↓薪ストーブが暖かい。こんな山小屋時間も素敵。
ずっと、漫画「岳(ガク)」を読んでました…。

夕方にはやっと雨が上がり、夕暮れの笠ヶ岳が見えました。


翌日4日目は、涸沢より上はガスでしたが、その下はようやく晴れ、徳沢まで、景色を楽しみながら下山できました。


さて。
今回の登山で考えたこと。

「自然回帰」ということで、山に癒されようと思って山に入りましたけど、今回は天候不良もあって、山の厳しさ、自然の厳しさを、肌で感じた登山でした。


スタートが「氷壁」であった、ということもありますし。
氷壁」は、昭和30年1月に起きた「ナイロンザイル事件」(前穂高岳東壁で起きた滑落遭難事件)をもとに書かれた長編小説。
そして実は私、「岳(ガク)」って、はじめて読んだのですよ。
山での生と死が、それぞれの人間ドラマとともに描かれていて。いわゆる「山岳救助隊」のメンバーが主人公なわけですけど、なんというか、人の命をあずかるという点で、自分たちの仕事とかぶるところがありまして…。
それで妙に共感してしまうところがあって、やはり読んでいて涙が止まらず…。薪ストーブの前で、ぐじゅぐじゅ。


山は、怖い。でも、やっぱり、山はいい。
「岳(ガク)」の主人公、島崎三歩は、山の事故で生還した人にも、亡くなった人にも、かならず「よく頑張ったね。」「また、山においでよ。」と声をかけるんですよね。
なんか、三歩って、「山」そのもののように思えて…。


山は厳しい。でも絶対に、嘘をつかない。大きな力で、私たちを包み込んでくれる。


そんなことを感じた、今回の登山でした。


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